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聖書通読のために 89

マタイによる福音書 10章 26~31節(聖書協会共同訳)


 「恐れてはならない」「恐れるな」は、神が何度も語られる言葉である。
 つまり人は恐れるのである。
 イエスがここで言われるのは「何を恐れなければならないのか」である。イエスは「神」を「命も体もゲヘナで滅ぼすことのできる方」を恐れよ、と言われる。

 世では、世間の目を恐れる。負け組となって見くださるのを恐れる。ハブられる(仲間はずれにされる)のを恐れる。以前は日本でも「お天道様が見ている」といった世を越える基準があったけれど、今はこのような言葉を聞くこともなくなった。
 恐れるべきは、真(まこと)の神である。真(まこと)の神は「命も体もゲヘナで滅ぼすことのできる方」であると同時に「私たちを愛し、私たちの罪のために、宥めの献げ物として御子をお遣わしに」(1ヨハネ 4:10)なるお方である。

 現代は、恐れるものがなくなり、欲望が暴走している時代。そして自分の欲望で自分を苦しめている時代。まさに今、人は真(しん)に恐れるものが必要なのである。


喜びあれ(マタイ 28:9 岩波版)