聖書通読のために 51
マタイによる福音書 6:12(新共同訳)
主の祈りその7。
「わたしたちの負い目を赦してください、/わたしたちも自分に負い目のある人を/赦しましたように。」
わたしはこの祈りが苦手である。赦すことのできない自分がいるからだ。あるとき気がついた。主の祈りがなければ、自分はこのような祈りを祈らないだろうということに。
主の祈り全体に言えることであるが、自分では祈れない、祈らない、あるいは後回しにしてしまうから、イエスは「このように祈りなさい」と主の祈りを教えて下さった。
赦せないとき、わたしたちは過去に捕らわれている。赦しは過去から解放し、新たに歩み出させる。その根源には、神の赦しがある。
「神がキリストによってあなたがたを赦してくださったように、赦し合いなさい。」(エフェソ 4:32)
この祈りも「わたしたち」と祈る。「憎しみの連鎖」ということが言われる今、すべての人が怒りや憎しみの過去から解放されて、神の赦しに与ることができるように執り成すのである。
喜びあれ(マタイ 28:9 岩波版)