聖書の言葉を聴きながら

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ルカによる福音書 3:23〜38

2016年1月6日(水)祈り会

 

聖書箇所:ルカによる福音書 3:23〜38(新共同訳)

 

 「イエスが宣教を始められたときはおよそ三十歳であった。イエスはヨセフの子と思われていた。」(23節)


 福音書の中で、ヨセフはイエスの誕生の場面にしか登場しません。このため、ヨセフは早くに亡くなったのではないかと言われています。そのため、イエスが宣教を始められた年齢には、そのことが関わっているのではないかと考えられています。
 マルコ 6:3にはイエスの兄弟の名前が出て来ます。「この人は・・マリアの息子で、ヤコブ、ヨセ、ユダ、シモンの兄弟ではないか。姉妹たちは、ここで我々と一緒に住んでいるではないか。」ここでもヨセフの名が出てこないのも、ヨセフが既に亡くなっているからだと考えられています。そして、イエスは30歳まで働いて、長男として家族を支えたのだろうと考えられてきました。


 もう一つ考えられるのは、民数記 4:2, 3にこう書かれています。「レビの子らのうち、ケハトの子らの人口を、氏族ごとに、家系に従って調査しなさい。それは臨在の幕屋で作業に従事することのできる三十歳以上五十歳以下の者である。」つまり、神殿で神の務めに従事する者は30〜50歳であったので、救い主として神の務めを始めるのに30歳がふさわしかったということです。


 23節後半から「ヨセフはエリの子、それからさかのぼると・・」というように系図が記されています。この系図には76人の名前が出てきます。イエスの系図はマタイによる福音書1章にも出てきます。マタイの系図は、イスラエルの始祖アブラハムから始まりイエスに至る系図です。ルカの系図は、ヨセフから溯り、アダムへ、そして神に至る系図です。


 マタイによる福音書は、ユダヤ人、つまりイスラエルの民に向けて編纂された福音書だと言われています。ですから、始祖アブラハムを起点としてイエスに至るイスラエルの歴史を象徴する系図です。一方、ルカによる福音書は、ローマに住む人々に福音を伝えようと編纂された福音書だと言われています。伝えようとしているイエスから始まり、神へと溯る。つまり、人類の歴史、救いの御業の根源には神がおられる。イエス・キリストこそ「民全体に与えられる大きな喜び」(2:10)であることを示そうとする系図です。


 マタイとルカの系図では登場する人物の名が随分違います。この違いについていろいろと考えられてきましたが、わたし自身が納得できる考えにはまだ出会っていません。


 わたしに分かることは、ルカの系図は、神が御子イエスにおいて、すべての人のための救いの御業をなされたことを示そうとしているということです。パウロがローマの信徒への手紙で書いているように「わたしは、ギリシア人にも未開の人にも、知恵のある人にもない人にも、果たすべき責任があります。それで、ローマにいるあなたがたにも、ぜひ福音を告げ知らせたいのです。わたしは福音を恥としない。福音は、ユダヤ人をはじめ、ギリシア人にも、信じる者すべてに救いをもたらす神の力だからです。」(1:14〜16)ルカもパウロと同じように信じており、この福音書を読むあなたのために神が救い主イエス・キリストをお遣わしになったことを伝えようとしているのです。

 

ハレルヤ